はじめに:足元を支える「管」を意識したことはありますか?
毎日使うトイレ、お風呂、台所。蛇口をひねれば水が出て、流せばどこかへ消えていく──。
その「どこか」を支えているのが、地下に張り巡らされた下水道管です。
でも、「下水道管」と一言で言っても、実は素材も形も口径もさまざまだということをご存知でしょうか?
今回は、下水道工事の現場で必ず登場する代表的な管材「ヒューム管」を中心に、下水道管の世界を分かりやすく解説します。
未経験から下水道工事の世界に飛び込もうとしている方にとっては、現場で扱う材料のイメージを持つ第一歩になるはずです。
「ヒューム管」とは何か?

ヒューム管とは、鉄筋コンクリート製の管のことを指します。
名前の由来は、オーストラリア人技術者ヒューム兄弟(Hume Brothers)。彼らが発明した「遠心力を利用してコンクリート管を成形する製造方法」が世界中に普及し、その技術で作られた管がそのまま「ヒューム管」と呼ばれるようになりました。
ヒューム管の最大の特徴は、圧倒的な強度と耐久性です。鉄筋とコンクリートの組み合わせにより、地中の大きな荷重や水圧に耐えることができ、日本中の下水道幹線で長年使われ続けてきました。
ヒューム管のメリット
- 強度が高い:大口径でも安心して使える
- 耐久性が高い:適切に施工すれば50年以上もつとされる
- 規格化されている:JIS規格に準拠し、品質が安定している
- 大口径対応:直径数メートル級の幹線にも使用可能
ヒューム管のデメリット
- 重量が重く、運搬・施工に重機が必須
- 硫化水素などによる「コンクリート腐食」が起こりやすい
- 目地部分から漏水・浸入水が発生することがある
特に「コンクリート腐食」は下水道管特有の老朽化現象で、これこそが管更生工事が必要になる大きな理由の一つです。
ヒューム管以外にもある!下水道管の主な種類

下水道管はヒューム管だけではありません。用途・口径・地盤条件によって、さまざまな素材が使い分けられています。
塩ビ管(VU管・VP管・リブ付塩ビ管)
近年もっとも普及しているのが硬質塩化ビニル管です。
軽くて運びやすく、内面が滑らかなため水の流れがスムーズ。腐食にも強く、小~中口径の下水道で広く採用されています。
レジンコンクリート管
樹脂とコンクリートを組み合わせたレジンコンクリート管は、ヒューム管の弱点である「コンクリート腐食」に強いことで知られています。
やや高価ですが、腐食環境の厳しい箇所や、長期耐久性が求められる路線で採用が進んでいます。
ダクタイル鋳鉄管
鋳鉄に特殊な処理を加えて靭性(粘り強さ)を高めた管です。圧送管や、地震に強い管路として使われることが多く、耐震性が高いのが特徴です。
陶管(とうかん)
いわゆる「焼き物」で作られた古いタイプの下水道管です。新規には使われませんが、古い住宅街ではいまだに現役で残っていることがあり、調査や更新の現場で出会うことがあります。
素材ごとの使い分け|口径・用途・耐久性の違い
それぞれの管材は、こんな基準で使い分けられています。
- 小口径(家庭からの取付管):塩ビ管が主流
- 中口径(街区を流れる本管):塩ビ管 or ヒューム管
- 大口径(幹線・流域下水道):ヒューム管 or レジンコンクリート管
- 圧送管・耐震重要区間:ダクタイル鋳鉄管
現場では、設計図書を確認しながら「この管はヒューム管のφ800」「ここは塩ビVU管のφ200」というように、素材と口径を一つ一つ確認して施工していきます。
最初は呪文のように聞こえる用語も、現場に出るうちに自然と身につくものなので、未経験の方も安心してください。
老朽化した管を「新品に蘇らせる」──管更生工事との関係

ヒューム管をはじめ、長く使われてきた下水道管は、老朽化という共通の課題を抱えています。
ひび割れ、目地のずれ、コンクリート腐食、鉄筋の露出──。これらをそのまま放置すれば、漏水や道路陥没の原因にもなりかねません。
そこで活躍するのが、道路を掘り返さずに管の内側から補強する管更生工事です。
SPR工法やダンビー工法といった技術を使えば、既存のヒューム管を活かしながら、内側に新しい管をつくるイメージで耐久性を取り戻すことができます。
つまり、「ヒューム管を知ること」は、そのまま「管更生工事の意味を理解すること」につながるのです。
まとめ:素材を知ることは、仕事の質を上げる第一歩
地下で人知れず、街の暮らしを支え続ける下水道管たち。
ヒューム管・塩ビ管・レジンコンクリート管……それぞれの素材には、それぞれの役割と歴史があります。
現場で扱う材料を知ることは、単なる知識ではなく、安全な施工・的確な判断・後輩への指導すべてに直結する大切なスキルです。
正和興業では、未経験からでも一つひとつの管材・工法を丁寧に学べる教育体制を整えています。
「地下のインフラを支える技術を、自分の手で身につけたい」という方は、ぜひ採用ページもご覧ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

