災害に強い街づくりを地下から支える。『下水道の耐震化』とは?~「トイレが使えない」を防ぐインフラの守り人~

はじめに:もしも明日、水道が使えなくなったら?


皆さん、こんにちは!正和興業株式会社です。

突然ですが、皆さんは「災害時のライフライン」と聞いて、何を真っ先に思い浮かべますか?

多くの人が、スマートフォンの充電や明かりを確保するための「電気」、飲み水を確保するための「水道(上水道)」、調理や暖房のための「ガス」をイメージするのではないでしょうか。これらが止まると、私たちの生活は一瞬にして不便になります。

しかし、実はもう一つ、普段は意識することすらないけれど、災害時に機能不全に陥ると「最も精神的・衛生的なダメージが大きい」と言われるインフラがあります。


それが、私たちの足元を流れる「下水道」です。


もし巨大地震が発生し、下水道管が壊れてしまったらどうなるでしょうか?

たとえ上水道が生きていて蛇口から水が出たとしても、それを「流すこと」ができなくなります。つまり、トイレやお風呂、キッチンでの排水が一切できなくなってしまうのです。

過去の大震災においても、避難所生活で最も深刻な課題となったのは「トイレ問題」でした。汚水が溢れかえれば感染症のリスクも高まりますし、何より「トイレに行けない」というストレスは計り知れません。


今回は、そんな災害リスクから街を守り、人々の尊厳ある生活を守るための「下水道の耐震化」について、私たち正和興業がどのように貢献しているのか、その技術と想いを詳しく解説していきたいと思います。



なぜ、下水道は地震で壊れてしまうのか?

日本は世界有数の地震大国です。しかし、日本の下水道インフラの多くは、実は地震に対して「無防備」な状態にあるものが少なくありません。まずはその理由から紐解いていきましょう。


高度経済成長期の遺産と老朽化

現在、日本の都市部の地下に埋まっている下水道管の多くは、高度経済成長期(1960年代~70年代)に急ピッチで整備されたものです。

当時は「いち早く都市の衛生環境を整えること」が最優先され、現在ほど厳しい耐震基準が設けられていませんでした。素材も、現在主流の塩ビ管などではなく、コンクリート製の「ヒューム管」や陶器製の管が多く使われています。これらは硬くて丈夫ですが、「柔軟性がない」という弱点があります。

さらに、設置から50年近くが経過し、コンクリートの劣化や鉄筋の腐食といった「老朽化」が進行しています。人間で言えば、血管が硬くなり、もろくなっている状態です。ここに巨大地震の強い揺れが加わるとどうなるでしょうか。


地震が引き起こす3つの破壊現象

地震発生時、地盤は液体のように波打ったり、左右に大きくズレたりします(液状化現象など)。硬い下水道管はこの動きについていけず、主に以下のような被害を受けます。


  • 1. 継ぎ目の抜け出し・離脱

下水道管は、数メートルの管を何本も繋ぎ合わせて一本の長い管路を作っています。地震の揺れで地盤が引っ張られると、この「継ぎ目」がスポッと抜けてしまったり、逆に押し込まれてクラック(ひび割れ)が入ったりします。そこから汚水が漏れたり、逆に地下水や土砂が管内に流れ込んだりして、機能停止に陥ります。


  • 2. マンホールの浮上

近年よくニュースで目にするのがこれです。埋立地や砂地盤などで「液状化現象」が起きると、地中の水分と砂が分離し、重たい泥水のような状態になります。

すると、中が空洞で空気を含んでいる下水道管やマンホールは、浮力によってボコッと地上に押し上げられてしまいます。マンホールが道路上で数十センチも飛び出せば、緊急車両の通行を妨げる大きな障害物となります。


  • 3. 管の圧壊・破損

強い揺れによって管そのものが押しつぶされたり、折れたりすることもあります。特に古いコンクリート管は「ポッキリ」といきやすく、一度崩壊するとその上の道路が陥没し、大きな穴が開く事故にもつながります。



掘り返さずに強くする!「管更生」は最強の地震対策

「古い管が危ないなら、全部掘り返して新しい管に入れ替えればいいじゃないか」と思われるかもしれません。

しかし、都市部の道路をすべて通行止めにして掘り返す「開削工事」は、莫大なコストと時間、そして交通渋滞などの社会的影響を伴います。すべての管を入れ替えるには、途方もない年月がかかってしまいます。

そこで今、日本の国土強靱化の切り札として注目され、私たち正和興業が主力事業としているのが、「管更生(かんこうせい)工法」です。


古い管の中で「新品」を作る技術

以前の記事でもご紹介しましたが、管更生とは「道路を掘り返さずに、古い管の内側に新しい管を作る技術」です。

マンホールから製管機や材料を入れ、既設の管の内側に、硬質塩化ビニルなどの強靭な素材をスパイラル状に巻きつけたり、裏返しにして挿入したりして、新しいパイプを形成します。

「単に内側を修理するだけでしょ?」と思われがちですが、実はこの工法で作られた管は、「地震に対して強い」という特性を持っています。


耐震性が高い理由①:しなやかさと強さの融合

私たちが得意とする「SPR工法」や「ダンビー工法」で形成された新しい管(複合管)は、既設の管と一体化することで、強度が飛躍的に向上します。

古いコンクリート管が外側の鎧となり、内側の新しいプラスチック管が柔軟な筋肉となるイメージです。これにより、地盤の変形に対して「追従する(=一緒に動く)」ことが可能になります。硬すぎて折れることもなく、揺れをうまくいなすことができるのです。


耐震性が高い理由②:継ぎ目がない「一体構造」

先ほど、地震被害の多くは「継ぎ目の抜け出し」だとお話ししました。

管更生工法で作られる新しい管は、マンホールからマンホールまでの区間を継ぎ目のない一本の長い管として形成します。

つなぎ目が存在しないため、地震で引っ張られても「抜ける」という概念自体がありません。これにより、汚水の流出や土砂の侵入をほぼ完璧に防ぐことができるのです。



ここがプロの腕の見せ所!弱点となりやすい「接続部」を守る

管更生で管自体は強くなりました。しかし、まだ安心はできません。地震時に最も力が集中し、破損しやすい「ウィークポイント」が残っているからです。

それが、「マンホールと下水道管の接続部分」です。


硬くて重い「マンホール」と、長く伸びる「下水道管」。地震が起きると、この二つは別々の動き(振動特性)をします。マンホールはどっしりと留まろうとする一方、管は地盤と一緒に揺れようとするため、その接合部分に強烈な力がかかり、バキッと折れてしまうのです。

ここが壊れると、せっかく管を直しても水が流れません。そこで正和興業では、この接続部に対して特別な「耐震対策」を行っています。


揺れを吸収する「耐震継手(たいしんつぎて)」

私たちは、管とマンホールの接続部分に、ゴムのような柔軟性を持った特殊な材料や、可動域のある「耐震継手」を設置します。

これにより、地震で管が抜ける方向に引っ張られたり、曲げられる方向に力がかかったりしても、接続部分がグニャリと動いて力を吸収します。

「剛(硬さ)」で対抗するのではなく、「柔(柔らかさ)」で揺れを受け流す。まるで柳の木のような構造を地下に作り上げているのです。

この接続部の処理は、非常に繊細な技術が求められます。わずかな隙間も許されない地下空間で、職人が手作業で丁寧に仕上げていきます。地味に見えるかもしれませんが、いざという時に数万人の生活を守る、まさに「決定的な仕事」なのです。



現場のリアル:私たちはこうして「安心」を作っている

では、実際の耐震化工事はどのように進められるのでしょうか。正和興業の現場の流れを少しだけご紹介します。


  1. Step1. 調査・診断(TVカメラ調査)

まずは敵を知ることから。ロボットカメラを管内に入れ、ひび割れや浸水の状況、管のズレなどを徹底的に調査します。「ここは地震で危なそうだな」という箇所をプロの目で見極めます。


  1. Step2. 洗浄・下処理

長年蓄積した汚れを高圧洗浄車できれいに洗い流します。木の根が入り込んでいる場合は、特殊なカッターで切除します。この下処理の丁寧さが、仕上がりの強度を左右します。


  1. Step3. 製管・耐震化工事

いよいよメインイベント。地上から材料を送り込み、地下で新しい管を作り上げていきます。地上ではプラモデルを作るように材料を組み立て、地下では巨大な機械がうなりを上げます。チームの連携が試される瞬間です。

  1. Step4. 検査・完了

工事が終わったら、再度カメラを入れて仕上がりをチェック。水がスムーズに流れるか、隙間はないかを確認し、すべての工程が終了です。


作業は基本的に夜間に行われることが多いですが、道路を掘り返さないため、近隣住民の方々への騒音・振動の影響は最小限です。「朝起きたら、道路の下が新品になっていた」なんてことも、私たちの仕事では日常茶飯事です。



社会貢献としてのやりがい~100年後の未来へ~


「下水道工事」と聞くと、汚くて暗い、きつい仕事というイメージを持つ方がいるかもしれません。しかし、私たちは自分たちの仕事を「都市の血管外科医」だと自負しています。


近年、台風の大型化やゲリラ豪雨、そして切迫する首都直下地震や南海トラフ地震など、自然災害のリスクは高まる一方です。

そんな中で、私たちが今日行った工事は、明日来るかもしれない災害から、確実に誰かの生活を守ります。

ニュースで「災害時にも水道・下水道は無事でした」と報じられた時、その裏には必ず、汗を流して耐震化工事を行った職人たちの努力があります。誰にも気づかれないかもしれないけれど、街の機能が当たり前に続くことこそが、私たちの最大の成果なのです。


「自分が携わった現場が、地図に残り、人々の生活を支え続ける。これ以上のやりがいはありません。」(現場監督・入社10年目)


正和興業の社員たちは、そんな誇りを胸に、毎晩東京のどこかの地下で戦っています。



まとめ:災害に強い街を、あなたの手で

正和興業では、一緒に「日本のインフラ」を守る仲間を募集しています。


特別な資格や経験は必要ありません。「社会の役に立ちたい」「スケールの大きな仕事がしたい」「一生モノの技術を身につけたい」。そんな想いがあれば十分です。

未経験からスタートした先輩たちが、今では現場の最前線で活躍しています。資格取得支援や研修制度も充実しており、あなたの成長を全力でバックアップします。


  • 技術力には自信があるけれど、もっと新しいことに挑戦したい経験者の方
  • 安定した業界で、腰を据えて働きたい未経験の方
  • 「地図に残る仕事」に憧れる学生の皆さん


ぜひ一度、正和興業の現場を見に来てください。

私たちが施工した一本一本の管が、地域の皆さんの「安心」のインフラになっています。災害に強い街を、あなたの手で一緒に作っていきましょう!


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