マンホール浮上事故はなぜ起こる?地震・浸水時に潜むリスクと対策

はじめに:大雨や地震のあと、マンホールが「浮き上がる」現象をご存知ですか

地震のニュース映像で、道路からマンホールだけが飛び出すように浮き上がっている光景を見たことはありませんか?

あるいは、大雨のあと、マンホールの蓋がずれていたり、周囲のアスファルトが持ち上がっていたりする様子を目にしたことがある方もいるかもしれません。

これは「マンホール浮上」と呼ばれる現象で、災害時に発生しやすいインフラ被害のひとつです。

一見小さな出来事に思えるかもしれませんが、実は車両の走行障害や、避難・救助活動の妨げにもなりかねない、見過ごせないリスクです。

今回は、マンホール浮上のメカニズムと、それを防ぐための対策について解説します。



マンホール浮上のメカニズム|浮力と液状化の関係

マンホールが地面から浮き上がる主な原因は、「浮力」と「液状化」という2つの現象が組み合わさることにあります。


液状化とは

液状化とは、地震の強い揺れによって、水を多く含んだ砂地盤が液体のような状態になる現象です。

通常、砂の粒同士は互いに噛み合って地盤を支えていますが、激しい揺れを受けると粒同士の結びつきが崩れ、地下水の中に砂が浮いたような状態になってしまいます。


なぜマンホールが浮くのか

マンホールは、内部が空洞の構造物です。周囲の地盤が液状化すると、地盤が「重い液体」に変わったのと同じ状態になります。

すると、水に浮き輪が浮かぶのと同じ原理で、空洞であるマンホールに強い浮力が働くのです。

普段はマンホール自体の重さと、周囲の土との摩擦によって浮力を抑え込んでいますが、液状化によってその摩擦が失われると、抑えるものがなくなり、地上へと押し上げられてしまいます。


豪雨・浸水時のリスク

浮上リスクは地震だけではありません。豪雨によって下水道管内の水位が急上昇すると、管内の圧力が高まって蓋を押し上げることがあります。

また、地下水位が上昇することで浮力そのものが増加し、浮上しやすい状態になることもあります。



過去の災害に見る浮上事故の実例

マンホール浮上は、過去の大規模地震において実際に多数報告されてきた被害です。

特に、埋立地や旧河道など、砂質で地下水位の高い地盤では被害が集中する傾向にあります。

浮上したマンホールがもたらす二次被害は、決して小さくありません。

  • 道路の通行障害:緊急車両や救援物資の輸送ルートが断たれる
  • 車両事故のリスク:突出した構造物に車両が乗り上げる危険
  • 歩行者の転倒:暗がりや浸水時には特に発見が困難
  • 下水道機能の停止:管の接続部が損傷し、汚水が流れなくなる

災害直後の混乱の中では、こうした障害が復旧全体の足かせになってしまうのです。



浮上防止のための対策工事

では、こうしたリスクにどう備えるのでしょうか。近年は、さまざまな浮上防止技術が開発・導入されています。


浮上防止金具(可とう継手・固定金具)

マンホールと管の接続部に可とう性のある継手を設けることで、揺れによる損傷を防ぎます。また、マンホール本体を地中で固定する金具を設置することで、浮力に対抗します。


過剰間隙水圧の抑制

液状化の原因となる地下水の圧力(過剰間隙水圧)を逃がす仕組みを設けることで、浮力そのものの発生を抑える工法です。マンホール周囲に排水機能を持たせるなどの手法があります。


埋戻し材の改良

マンホール周囲を埋め戻す際に、液状化しにくい材料(砕石や固化材を混ぜた土など)を使用することで、地盤そのものの強度を高めます。


蓋の飛散防止機能

管内圧力の上昇時に、蓋が完全に外れないよう固定しつつ、圧力だけを逃がす構造の蓋も普及しています。



日常点検が防災につながる理由

これらの対策工事はもちろん重要ですが、日常の点検・維持管理もまた、災害への備えとして欠かせません。

たとえば、こんな小さな異常が、災害時の被害拡大につながることがあります。

  • 蓋のガタつきや変形|固定機能が正しく働かない恐れ
  • 接続部の緩みやひび割れ|地震時に一気に損傷する起点になる
  • 周囲のアスファルトの沈下|地盤の空洞化のサインかもしれない

私たちが日々行っている点検・清掃・修繕は、平時の快適さを守ると同時に、災害時の被害を最小限に抑える備えでもあるのです。

正和興業は東京23区東部を中心に、こうした下水道インフラの維持管理を担っています。地味に見える日々の作業の一つひとつが、街の防災力につながっていると考えています。



街の防災を地下から支える仕事に興味を持ったあなたへ

ここまで読んで、「マンホールひとつにも、こんな防災の視点があったのか」と感じていただけたなら嬉しいです。

正和興業は、東京23区東部の下水道インフラを専門に守り続けている会社です。日常の点検・修繕を通じて、災害に強い街づくりに貢献しています。


未経験からでも、街の防災を足元から支えるプロになれる。


資格取得は会社全額負担、取得後は資格手当も支給されるなど、学び続けたい人を応援する環境が整っています。


あなたの一歩が、災害に強い街をつくる力になります。


まとめ

マンホール浮上は、液状化による浮力管内圧力の上昇によって引き起こされる、災害時特有のインフラ被害です。

浮上防止金具や埋戻し材の改良といった対策工事に加え、日々の点検・維持管理が被害を防ぐ大きな力になります。

何気なく通り過ぎるマンホールの下にも、街を守るための技術と、それを支える人々の仕事があります。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。